CMT工法が玉石・砂礫推進に適する理由!
モノスリット工法
掘削土砂の取り込み過剰の原因には主として2つの場合があります。
一つは、地盤の自立高さより切羽の直径が大きいのに、適切な切羽防護方式が採用されなかった場合、カッターヘッドの回転掘削によらず、切羽の方から崩れてきて、カッタースリットに流れ込むことにより、取り込み過剰を起こす場合です。
もう一つは切羽に大きな玉石や流木などが出て、これらを処理するため、ほとんど前進出来ずにカッターヘッドを回転し続けたため取り込み過剰を起こす場合です。
これらの問題がある工事では「モノスリット工法」が完全に解決します。
「モノスリット工法」とは
従来の面板加圧式泥土圧工法(水力排土工法を含む)のカッターヘッドには土砂の取り込み口(カッタースリット)が中心対象に2~4ヶ所付いていました。
そのために第1図のようにカッタースリットが面板の中心対象に2ヶ所付いているとカッターの回転により交互にどちらか1つのカッタースリットが上に来て他のスリットが下にきます。
この時チャンバーの水圧をいくら高くしても、水の流れは圧力の高い方から低い方へ流れるので、チャンバーの水は上のスリットから切羽に出て行き、下のスリットからは出て行きません。そのため切羽の土砂が水と共に下のスリットからチャンバー内に流入するのを抑えることが出来ません。
しかし、モノスリットカッターでは、第2図のようにカッタースリットが面板の片方だけに偏在して付いているので、チャンバー水圧をカッターヘッドの最下部の水圧よりも高くすれば、モノスリットがカッターヘッドの回転によって最下部にきた時にも、他に水圧の逃げ道がないので、下にきているモノスリットからチャンバーの水がモノスリットを通って切羽に流出、又は加圧します。
モノスリットがカッターヘッドの最上部に来た時も、切羽の水圧よりチャンバー水圧のほうが高いので、チャンバーの水はモノスリットを通って切羽に流出、又は加圧します。
同じ土圧型の掘進機でも削土密閉型の切羽防護方式では大口径になるほど切羽高さが高いため、泥漿材を混和した掘削土は自重により、下に下がり勝手になるため切羽上部の加圧 が不足ぎみになり地盤を緩めてしまうことがあります。
しかし、モノスリット面板加圧方式では機械的に面板を最適な加圧力で切羽に押し付けるので、加圧不足が生じる恐れがありません。とくにモノスリット型では面板の約97%以上が面板なので(開口率3%以下)完全に鏡を抑えることが出来ます。
このためモノスリット面板加圧型カッターヘッドは大口径掘進の切羽防護に最も適しています。
CMTのモノスリット面板加圧型掘進機では面板を鏡に押し付けた状態で起動できる大きな起動トルクを持っています。またこの大きな起動トルクの反力をとるために、掘進機の直後には油圧駆動のスタビライザーを内臓したスタビ胴を連結することもあります。
切羽に大きな玉石や流木が出た場合の過剰取り込み防止の機構について
玉石混じりの砂礫地盤では面板にローラービットを取り付けたカッターヘッドを用います。
ローラービットが付いていれば大きな玉石も破砕して掘進します。玉石の大きさが小さければ、そのまま取り込むか、又はローラービットの1回打撃で、取り込み可能な大きさに破砕します。
しかし玉石が非常に大きくなると、1回の打撃では破砕できないので、数回または数十回の打撃が必要になります。その間、カッターヘッドは回転しなくてはならないけれど、掘進機はほとんど前進できません。
前進しないでカッターヘッドを回転すればチャンバー水圧を上げない限り小粒分(マトリクス)は入ってきます。しかし、チャンバー水圧は送泥ポンプ、排泥ポンプ、及び中間ポンプのバランスのうえで運転されているので、急に上げることは出来ません。
土砂の取り込み口に、ゲート機構のない掘進機では、その間に、マトリクスを取り込み、取り込み過剰となります。 しかし、CMT掘進機には、第3図のように、モノスリット口に遠隔操作で開閉できるゲート板が付いています。
このゲートにより大きな玉石を破砕している間だけ、ゲートを閉めることが出来るので、取り込み過剰を回避できます。
1回の打撃で破砕できない玉石にあたれば、機内に設置してある集音マイクからの打撃音とカッター電流計に振れで、オペレーターはすぐ分かるのでゲートを閉めて減速します。
大きな玉石の破砕が終わればゲート板を明けて掘進を再開します。勿論、切羽の自立性等土質条件によって、ゲート板は遠隔操作で開口率を変えて運転することも出来ます。
流木が切羽に出た時も、同じ速度で掘進を続行すると、カッターヘッドが流木を抱えて回転することがあります。そうなると鏡が荒らされて取り込み過剰が生じます。
減速又は停止寸動して、少しずつ流木をむしりとらなくてはなりません。この場合もゲート板を閉めることによって過剰取り込みを防止します。
C.A.Pシステム(定位置停止装置)でより確実な安全を担保
ヒューム管1本を押し終わり、発進立坑で次のヒューム管を据え付ける間送排泥管はマシンバイパス(掘進機内の止水弁)で止水して切り離すのでチャンバー内の水圧は自然水圧となり、モノスリットからの水の流出はなくなります。
この状態でモノスリットが最上部にきていると切羽上部の地盤は崩壊してモノス リットを通ってチャンバー内がいっぱいになるまで流れ込み、結果として切羽の上に大きな空洞ができてしまいます。
この現象を食い止めるために、モノスリット工法ではカッター回転を停止するとカッターヘッドのモノスリット口は自動的に真下の位置で停止するようになっています。
これを、C.A.Pシステム(定位置停止装置)といいます。
CUTTERHEAD AUTOMATIC POSITIONING
SYSTEM ⇒ C.A.Pシステム
モノスリット口が真下で止まると、第3図に示すように流砂は水中での安息角で僅かだけチャンバー下部に入ってきて止まります。チャンバーの後部にはタレットが一段高くなっているので安息角の足はタレットで止まるのでチャンバー内に溜まる流砂は僅かです。
さらに安全を期するためにカッター回転をとめてからカッターヘッドの面板を数十トンの力で切羽に押しつけて推進をとめているので、さらに確実に切羽は防護されています。
この、モノスリット工法は多くの自立性のない玉石混じり砂礫地盤、細砂、流砂地盤に使用し、その効果が実証さされています。
特に、径が数十センチもある大きな玉石混じり砂礫地盤では、切羽の砂分の先行取り込みを抑制して玉石を固定し、ローラービットで破砕するのに役立っています。
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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