CMT既設管破砕改築工法の研究開発
CMT工法は岩盤推進を目的として開発し、これを確立させ岩盤推進工法の分野においては、他工法の追従を許さない工法であるとの評価を得ております。
さらにその特長である、「強大な破砕能力があること。」「施工途中で機内からビット交換が出来ること。」「機内から切羽の障害物を除去できること。」などを発展させて長距離推進施工に分野においても業界トップの実績をあげております。
このことはCMT工法の開発に対してての「科学技術庁長官賞」や「第5回国土技術開発賞(財団法人国土技術開発センター)の決定」などで、公に実証されているところであります。
推進工事の主だった活用は下水工事でありましたが2000年代に入り全国的な普及率としては75.8%を超え完成に近くなってきています。
一方敷設から下水道管の寿命の50年に達し老朽化したことから道路陥没などの事故が増えてきております。
その為、既設管の更新、改築ということが各自治体においての最大のテーマとなり、すでに更新については様々な提案がなされています。
また、昨今の異常気象とも言える局地的集中豪雨(ゲリラ豪雨)の為に、細い管路では、雨量が処理しきれなくなっていることも現状で、管径を拡大することで、道路へ水が溢れることを防ぐこともできます。
しかし概ねの大都市の環境では、豪雨の排水処理のために新規に下水管を敷設することは非常に困難です。他の管路(ライフライン)などが右往左往に巡ってしまっていることと、陸上には住宅・ビル・道路が密集している為に工事を行うことが困難だからです。
つまり、寿命となった管路を廃止し、新しく設置を行おうとしても、物理的な場所が無いという状況です。
一方すでに様々な提案がなされている、更正工法では管路のコンクリートが腐食し剥落している場合には採用できませんし、開削も上記の理由から困難であります。
改築推進工法であれば、既存の管路を破砕しながら新たに新管を敷設するために、古い管路の交換と管径を太くすることが可能になるのです。
このように今後社会的ニーズが高まる既設管を破砕しながらの改築工法に必要な技術的問題点を解決できる多くの要素をCMT工法はその特長として備えておりますので、既設管改築の分野においてもCMT工法を活用し「CMT既設管破砕改築工法」を確立させることで、社会的ニーズに応えられるよう開発に取り組んで参りました。
研究開発の具体的課題
我が国の下水道事業にとって改築推進工法の開発が喫緊の問題である事は周知の事実となっております。しかし、これほど発展した推進工法にあっても、残念ながら中大口径管における改築推進工法の分野では、安心して施工が出来る改築工法は無く、各自治体様もその発注に頭を悩ますところでありました。
その原因は改築推進工事においては一般推進工事と異なり施工場所がほぼ完成した市街地であり、地中上部には電気、ガス、水道など他の重要なライフラインが輻輳しており、地上には建造物が接近しているために慎重な上にも慎重な切羽管理が要求されるためです。
その切羽には旧埋設管が存在するために均質な地盤もしくはそれに近い地盤は皆無で、しかも旧埋設管そのものも敷設時の施工方法により巻き立て材が異なるほか同一路線内においてもその管老朽度が異なるなどその条件は複雑極まりないと言えます。このような条件下で安定した施工をしなければならないために改築推進工法の開発は非常に難しいと言わざるを得ませんでした。
CMT改築推進工法の目指すところ
CMT推進工法は約40年前に『如何なる条件下においても安全に安心して工事を完遂する事』を基本理念に、当時は非常に難しいと言われていました岩盤推進に挑戦しました。
その為にCMT工法の掘進機は強力な切削能力を持ち、バルクヘッドの扉を開放することにより機内から切羽を直接点検することが出来る特殊な機構を持っております。
この機構はCMT推進工法を岩盤推進に留まらず超長距離推進や障害物対処可能な推進工法などへと発展させる原点となりました。CMT改築推進工法の開発に当たっても従来の特色ある機構を更に発展させて安定した切羽管理を実現させて安心して施工が出来る改築工法を目指しました。
具体的には
(1)切羽の推力管理及び土量管理を徹底して、絶対確実な工法
(2)目視による切羽点検を可能にして、徹底した切羽管理工法
(3)旧管路の弛みなどにも対応可能にして、全方位的工法
(4)旧管が推進管の場合にも対応して、継輪排除が可能な工法
(5)推進延長も考慮して、機内よりビット交換が可能な工法
(6)旧管の破砕残滓を回収して、環境対処工法
等を開発のコンセプトとしました。
CMT改築推進工法の開発は2005年度より本格的に取り組み、工場内実験では下水道用鉄筋コンクリート管の切削実験に始まり、試作機による掘進実験や残土取り込み実験を完了させ、2007年には仮設現場を想定し地下実験を試み一部はコンサルタント数社に公開を致しました。
その結果、当初問題とした鉄筋コンクリート管を容易に破砕切断できるビットの開発に成功しましたが、銅製継輸の切断除去は非常に困難である事や、切羽の管理には多岐に亘る問題があることが認識され、これらの問題を一つずつ解決する事としました。
2010年にこれらの諸問題に関して一応の解決策を決定しCMT改築推進工法1号機を完成させることとなりました。
左の動画は、研究開発時の実験動画です。
そして・・・
2012年5月山口県宇部市ご発注の
「第72工区西部浄化センタ一合流 幹線(改築)工事」において
CMT改築推進工法の初弾工事に着手し、同年6月成功裏に竣工させて
頂きました。
CMT改築推進工法の概要
1.推進方式 - 回転式破砕推進工法
2.切羽安定工法 - 泥土圧工法
3.既設管の処理 - 破砕回収方式
4.新設管適用径 - Φ800mm~Φ1500mm
5.既設管適用径 - Φ200mm~Φ1500mm
CMT改築推進工法の特長
1.切羽土圧が管理できます。
2.切羽が目視でき、ビットを機内から交換できるように
点検扉を有しています。
3.ゲリラ降雨による流量増加にも対応可能なように、新設管の
増径が自在です。
4.既設管の破砕ガラを完全に回収いたします。
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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