投稿 住民の生活を守る・切羽が視える改築推進工法 Vol.26 No.9 2012
工事の施工について
3.1 改築掘進機
本工法では、既設管を破砕しながらの推進となるために掘進機切削部の切羽面に鉄筋切断およびコンクリート破砕用のフェースカッタ、ゲージカッタおよびサブビッドを装着し、外周部には外周保護ビッドを設けて確実なテールボイドを構築する。掘進機の機能としては泥土圧式推進工法を基本とし、切削部で削り取った残土はリボンスクリュを介してチャンバ外に出し、これをバキュームで坑外に搬出する方式である。
また、硫酸の生成による腐食が進行しているために硫化水素の残留有害ガスの存在も心配されたために、酸素、一酸化炭素、硫化水素、可燃性ガス検知システムを設置して作業員の安全を図ることとした。
【掘進機仕様】
機径: φ1,010mm
機長: 2,730mm
カッタ原動機: 7.5kw×4台
カッタ回転数: Max5.0rpm
3段切替え
カッタ卜ルク: 43kN• M
フィーダ原動機:3.7kw
3.2 施工状況
改築推進の一つの課題である鉄筋の切断と回収に関しては、全線にわたり調査した。選別回収された鉄筋は長さ50~400mmでその重量はヒューム管一本当り平均2.8kg/本であり、選別回収できなかった50mm以下鉄筋とほぼ同量と仮定すると総回収量は6kg前後である。当該工事では既設管と改築管の管底レベルでの差異が約100mmありその部分は切削することなく残置した。
さらに、既設管上半部の鉄筋は痩せ細っており実際に切断する鉄筋は健全な管の場合の約40%程度であると考えるとほぼ全量が回収されたこととなる。このことは他の機会に掘削機外周を調査した結果、外周部には鉄筋が無かったことからも確認できた。
切羽保護については、チャンバ内の土圧および切羽の押付け土圧を管理することにより、安定した施工ができ、残土の過剰な取り込みは発生していない。
施工速度は平均2.45m/稼働日程度でほぼ計画通りであった。
3.3 切羽の確認
住宅地での施工においては、家屋に接近していることや他の構造物が輻輳している場合が多く、想定外の事象が生じた場合に、その原因を確認せずに推進を継続することは大きな事故につながることとなる。これを防ぐためには、オペレータの勘のみに頼ることなく、チャンバを開いて切羽を目視で調査しトラブルの要因を排除することが最も確実である。当該工事においても発進立坑より約23m付近で切羽に障害物らしきモノに当たり推進不能になった。直ちに圧気設備を稼働させ切羽の安定を図った後に、チャンバを開放して切羽前方を調査した結果、想定外の場所から過去の鋼製補修材が発見され、直ちに除去する処置を実施したため事故には至らなかった。
3.4 施工精度
既設管を破砕しながらの施工で切削部の受ける抵抗が、上下左右で大きく異なるために方向制御の成果を心配したが、一般的な推進精度とほぼ同様の施工精度を確保することができた。
おわりに
本市においては、改築推進工法の施工は初めての経験であり、施工条件の厳しい中、不安と期待があったが、工事関係者の努力により良好な結果で工事を完成するこができた。
今後、下水道事業においては、老朽管および耐震対策に伴う改築事業が増加していく中で、改築推進工法は、現場条件的に開削工法による敷設替えおよび更生工法が不可能な場所において主流になると考えられる。
今後の改築推進工法においては、老朽管と新設管事態の入れ替えと共に、管上部の空洞や緩みを完全になくして将来の安心安全が確保できることと、コスト面、技術面のさらなる事業展開に期待するところである。
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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