投稿 住民の生活を守る・切羽が視える改築推進工法 Vol.26 No.9 2012
はじめに
宇部市の下水道事業は、市街地の中心部を流れる真締川を境として東西の処理区に分割し、処理場2箇所を含む248haの合流式下水道計画を樹立して昭和23年に事業許可を受け事業に着手し、西部処理区は昭和36年、東部処理区は昭和37年に供用開始した。
その後分流式による事業に着手し、処理区域の拡大、市町合併等を経て、平成23年度末現在、4処理区で3193.2haの整備が完了し、人口普及率は72.7%、管路延長は702kmとなっています。
合流区域の管きょ整備は昭和30年頃から整備され、標準耐用年数50年を経過した管路が約5割あり、また陥没事故が多くなるといわれる30年を経過した管路は約9割を占めており、陥没事故等の危険性が高まっている。
管きょ改築事業については、平成11年度より本格的に実施しているが、老朽化に起因する事故も増加傾向にある。また、平成23年度には合流区域の長寿命化計画を策定したところであり、さらなる改築事業の推進が喫緊の課題となっている。
工法選定について
2.1 工事概要
工事名:西部浄化センター合流幹線
(改築)工事
工期:平成23年11月7日~同24年7月31日
工事場所:宇部市居能町一丁目地内
既設管: φ700mm A型
鉄筋コンクリート管
改築管: φ840mm
レジンコンクリート管
推進延長: 58.77m
土被: 2.5m
水位: GL-2.0m
土質:シルト
2.2既設管の老朽度
当該管路は昭和32年に敷設し、50年が経過しており、過去数度にわたり小規模な陥没が発生し、その都度補修を重ねてきた。
現場環境としては、上流側に位置する栄川ポンプ場からの圧送管放流口にあたり、常時、硫化水素が発生する状況にあり、硫黄酸化細菌による硫酸の生成でコンクリートの腐食が予測された。
このような経緯から、既設管はかなり老朽化が進んでいるものとの判断の基で既設管内に検査カメラを入れて調査を行った。
その結果、対象とする全延長にわたり硫酸の生成による腐食が進行しており(写真-1)、既設管の天端付近においてはコンクリートが剥落して鉄筋が露出しており、極端な場所では鉄筋も腐食して孔が空いている箇所もあった。これらの内、数箇所では過去の補修に用いた銅製の補修材の存在も確認することができた(写真-2)
このため、これ以上の道路陥没および土砂の流入を防止するため、改築工事が急務となった。
次に、改築工事の施工方法を検討するに当たり、以下の現場条件を考慮する必要があった。
(1)管の上部に近接して、NTT等の地下埋設物が輻輳している。
(2)管が一部破損、欠落しているため更生工法が不可能である。
(3)管が家屋に近接している。
(4)管が埋設してある市道の交通量から全面通行止めが不可能である。
(5)管頂部に過去の補修による鉄板等が存在する箇所がある。
以上の事を考慮して開削工法、更生工法、改築推進工法を検討した結果、改築推進工法を採用することとした。
2.3改築推進工法の課題
改築推進工法を検討するに当たり、交通の問題や近接する民家の問題、さらには他の埋設物の問題を考慮すると、その工法は切羽管理を確実に行い「住民の生活に影響を与えない安全な」工法であることが要求される。
一方、当該工事においては土被りが2.5mと比較的小さく、しかも潮の干満により地下水位が上下するために安定した地盤ではない。しかも過去の補修で一部の地盤は乱れており上部には鋼製補修材の存在も確認されて、推進施工時に安定した切羽を確保することがかなり難しいことが予想された。
現在の改築推進においては切羽の安羽定を考属した工法が少なく、改築推進工法の採用に際しては容易に踏み切れなかったのが事実である。
そんな中でCMT改築推進工法は
(1)チャンバ内を常に泥土で充満させ、切羽土圧とバランスさせて安定した施工が可能である
(2)切羽抵抗を測定することにより、切羽状況を把握しながら施工することが可能である
(3)取り込み土量を管理することにより、切羽崩壊を防ぎ、上部の陥没などを防止が可能である
(4)チャンバの開放が可能なため、これを開放して直接に切羽面を目視して不測の事態(想定外の鋼製補修材との遭遇など)に対応が可能である
(5)カッタが損傷した場合にもこれを交換が可能である
など、切羽面を管理しながら施工できることから、当該工事の施工にはCMT改築推進工法(以下、本工法)を採用することにした。
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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