特集 推進技術「きほんのき」 Vol.27 No.6 2013
4.1 初期発進で流れをつかむ
初期発進は推進の基本をつかむ一番大事な作業と認識してください。初めて推進部の土質をじかに目視することができます。また改良土とはいえ管の外周抵抗や先端抵抗の概要値を掴むことができます。もちろん改良土の中ゆえ機器の調整等扱いやすい操作準備をしながらカッタトルク等も観察します。そして如何に短距離で推進の基礎データを収集することができるか、これによって随分現場管理者の負担は変わってきます。しかし推進のデータは操作盤だけではありません。排土の状況確認、排土量等についても目配りする必要があります。時に逸水等にも配慮する必要があります。
プラント、ジャッキマン等の連絡を密にして排泥管の流れの音の変化までもオペレータは情報として捉えます。具体的にはどの様な現象に注意する必要があるのでしょうか?
4.2 推進状況より
【土質の変化】
砂質、粘性士、砂礫、岩質でカッタ音、排泥音は変わります。
【ヒューム管の動き】
スムーズな動きか、シャクリがある場合要注意します。砂質地盤で滑材不足等管が絞められると推進力上昇につながることが多いのです。
【曲線割増率の確認】
曲線を切り始めてからの推進力増を掴み、曲線割増率等の計画数値の妥当性の確認をします。
4.3 切羽の確認
CMT工法は岩盤推進から始まっているので機内より切羽を目視確認できます。異常な切羽の抵抗やカッタ回転音があれば即座に地下水対策として圧気工法、薬液注入等の補助工法を実施すれば何時でも目視確認が可能ですので、現地盤とカッタの適合性や岩盤に対してのビットの確認、交換作業も実施することができます。
4.4 元押推進力と縁切り推進力
推進は時間の関数です。長距離推進等500~1,000mの推進工事が増えてきましたが、距離が延びれば延びるほど一日のスタート時の推進力は前日終了時の推進力よりも高目となります。この時の推進力を我々は「縁切り推進力」と呼んでいますが、距離が長くなると縁切りのための中押作動等も必要になります。長距離の場合500mまでの推進は、昼間作業だけでも問題ありませんが500m超えるものは昼夜作業と考える必要があります。土質にもよりますが、終了時推進力より200tオーバと言うこともありました。縁切りをして1~3mも推進すれば元の推進力に復元しますが、距離が長くなればなるほど元押推進力と縁切り推進力の差は大きくなります。
推進管理者は平面、縦断曲線を含めて推進力、カッタトルク等現場限界管理数値を決定管理します。昔、手掘り時代に言われた「測量はセンタ」レベル共に管径にもよりますが先頭から4~6本程度の測量でよく、それを「グラフ化して描く」ように指導を受けました。5本なら5本の出来型をグラフにすると刃口修正値との関連が良く理解できたものです。グラフ管理は大いに活用してください。
4.5 カッタトルクで見えるもの
CMT工法の場合掘進機後方に推進力点ジャッキを装備しています。掘進機本体での切羽の押付力が表示されます。方向修正とは異なり、一番の目的は岩盤におけるピットの摩耗、損耗を推定する道具として、正確な押付力を必要とする地盤に対しての管理目的で設置し始めています。
また、カッタトルクで間欠的変化や回転中のカッタ異音が出てきた場合、障害物に遭遇というケースも多くありました。故にその都度点検扉を開けて切羽およびチャンバ内状況を確認し早期に対応処置をとることができました。
オペレータは常に運転しながら排土状況の情報を確認し、掘進スピードをコントロールするわけですが、少しでもおかしいとか管理限界値を超えた場合、勇気を持って推進をストップし次の対策を練ってください。私自身の経験から、このことに躊躇し現場を止めて対応しなかったことで大事になってしまった現場をいくつも見てまいりました。「後悔は先に立たず」この言葉を忘れずにしたいものです。
年寄りが思いつくままにTwitterしてみましたが何か参考になりましたでしょうか?
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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