特集 管路再構築時代に求められている「改築更新技術」とは Vol.27 No.8 2013
はじめに
我が国の下水道は、明治17年の東京神田下水を最初として昭和30年ごろから本格的な普及が進みました。昭和50年代に入るとその普及率は急勾配で上昇し、現在ではその人口普及率は約76%に、敷設延長は42万kmに達しております。
このような歴史を持つ我が国の下水道管路は、近年悲鳴を上げております。下水道管路の主たる管材である鉄筋コンクリート管の寿命は50年と言われており、この寿命を迎えた管路が全国で7,000km以上に達し、さらには老朽による事故などが多発すると言われている敷設後30年を過ぎる管路は70,000km以上と言われております。普及の歴史を鑑みますと下水道管路の老朽化問題は近い将来、爆発的に増加することは確実であり対策が急務であることは明らかであります。
下水道管路の改修には開削工法と非開削工法がありますが、敷設時に比べて格段に発展した現在の都市部では、非開削工法による下水道管路改修の比率が確実に上昇することでしょう。
このような状況下にあって大中口径管を対象とした改築推進工法の開発が長年にわたり望まれておりましたが、この度やっと一般的推進工法と同レベルの安心感を持って施工できる大中口径管対応の改築推進工法が開発されましたので、ここにご報告させていただきます。
改築推進工法はなぜ難しいか
2.1 切羽の管理
大中口径管対応の改築推進工法においては切羽面に既設管といういわば、「障害物」を常に抱えての施工となります。
この障害物で、ある既設管は老朽化により折れ曲がったり、弛みを生じたりしております。さらには既設管が開削工法で敷設されている場合には基礎部の枕や支承の形により均一ではありません。このように切羽のバランスは常に異なります。
また、古い既設管の側部や下部には往々にして「水道(みずみち)」がついている場合が多く周囲の地盤は乱れており切羽崩壊の危険が非常に高い状況です。このような条件の下で鉄筋コンクリート製の既設管を破砕する訳ですから、その振動などにより切羽の崩壊や過剰取込みの危険性は更に助長されます。
現在の一般推進工法における切羽管理はチャンバ内の土圧計管理と土量管理をしながらオペレータの熟練した「勘」に頼るところが大であります。
しかし、改築推進工法の施工は前述のような非常に厳しい条件ですから切羽の安定を確保しながらの施工はオペレータにとって一般推進工法に較べて数倍難しいといっても過言ではありません。
2.2 残土の排出
下水道管用鉄筋コンクリート管に使用されている鉄筋径(螺旋筋および軸筋)は概ねφ4~8mmです。
改築推進工法においては、コンクリート破砕と同時に鉄筋も切断しなければなりません。掘削ガラや鉄筋をチャンバから取り出して坑外に搬送します。その時、切断された鉄筋の長さが長くなると坑外搬送が非常に難しくなります。搬送手段が水送や空送の場合の切断鉄筋の長さは、概ね100mm以下でなくてはなりません。この50~100mmに切り揃えるのが非常に難しいのです。しかし、この問題は日進量に直接影響しますから、是非とも解決しなければならない問題です。
2.3 過剰取込みの防止
改築推進工事を施工する場所は概ね都市部であります。地表面には建造物が林立し、既設管上部にはライフラインなどが輻輳しているものと考えなくてはなりません。ですから土砂の過剰取込みなどによる近隣への影響は絶対に許されません。
しかし、対象とする切羽は既設管部分とこれと物性の異なる土砂部分が常時存在しますから、極端に異なる性質を持った互層地盤での推進工事に例えられます。これに加えて「水道(みずみち)」まで存在するとあっては、既設管上部の土砂部分はカッタの回転に伴い崩れよう崩れようとしております。このような切羽条件下での過剰取込み厳禁ですからその管理は非常に難しい問題です。
施工実績
代表的な施工事例です。
山口県宇部市
φ840mm
大中口径管改築推進工法
紹介動画あり
愛知県豊橋市
φ1000mm×1448m
500R 3箇所,700R 4箇所
新潟県
φ1350mm
可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m
神戸市
φ1000mm×251m
障害物
地下鉄築造時の親杭
(H300×300-9本)
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