トップページCMT工法・メディア紹介月刊推進技術 Vol.27 No.8 2013 「改築更新技術」とは Page3

CMT工法・メディア紹介

特集 管路再構築時代に求められている「改築更新技術」とは Vol.27 No.8 2013

写真-4 排土状況

工事報告

5.1 工事概要

工事名:第72工区西部浄化センター合流幹線(改築)工事
工期:平成23年11月7日~平成24年7月31日
工事場所: 宇部市居能町一丁目地内
既設管:φ700mm A型 鉄筋コンクリート管
改築管:φ840mm レジンコンクリート管
推進延長:58.77m
土被: 2.5m
水位: GL-2.0m
土質:シルト
線形: 直線

5.2 工事条件

宇部市の下水道事業は昭和23年に着手し、昭和36年に供用開始しました。平成23年度末現在、3,195haの整備を完了し人口普及率は72%、管路延長は702kmとなっています。そのうち標準耐用年数50年を経過した管路が約50%であり、陥没事故が多発すると言われている30年を経過したものは90%に達しており、長寿命化対策等を策定しての改修事業の推進が喫緊の課題となっております。

当該工事の管路は昭和32年に敷設しましたが、近隣の栄川ポンプ場の圧送管放流口に位置するため、老朽化が進み過去数度にわたり小規模な陥没事故を惹起し、その都度応急補修を行っております。ご当局では設計に先立ち管路内を監視カメラで入念に調査しました。その結果、既設管天端部分の老朽化は非常に激しく、コンクリートの腐食に留まらず鉄筋部も完全に腐食して空洞となり、その部分から土砂や巨石が管に流入して礫だまりを形成している個所が数か所ありました。また過去の補修に用いた鋼材が残存していることも確認されました。土被りは2.5mと比較的浅く、水位はGL-2.0ですが、約30m付近まで海が迫っているため水位が上下する状態にあります。既設管の敷設個所は生活道路の下部であり、そこにはNTTの電䌫や水道も埋設されています。

このように当該工事の現場条件はかなり厳しく、ご当局も工法選定の際にはかなり悩まれました。

生活道路であり人家が建て込んでいますから開削工法よりも推進工法での施工が適切であるとの決定がなされました。しかし、シルト地盤で、土被りが2.5mとかなり浅く、加えてGL-2.0mの水位が上下している中での改築工事であり、工事区間内には過去の補修跡が数か所ありますから…随分悩まれました。

結果、「住民の生活に影響を与えない安全な工法」としてCMT改築推進工法が選定されました。

5.3 工事の施工

推進工事開始前に、事前調査で確認された過去の補修跡に残存する鋼材などの撤去を行い障害物との遭遇を極力避けることとしました。また、管老朽化による多数の空洞がありそれによる礫だまりの存在などを考慮して上部地盤の安定化のために、既設管内に前もってCBグラウトを施し完全に充填しました。

推進施工条件としてはかなり厳しい条件であったため、完全を期すために推進設備は硫化水素検出装置や圧気設備なども含めてフル装備で臨むこととしました。

推進施工に当たりましては添加材を注入し混練り時聞を十分に取り、調整ゲートを絞り気味にしてチャンバ内の圧力を調整し、切羽を安定させながら慎重に施工しました。掘進機面板の切羽への押付け力・泥土による切羽土圧と水圧とのバランス・取込み土量、この3点を数値的に管理することにより切羽を常に安定させながら推進ができました。

鉄筋選別の機械化が未だ完璧でないために、人力により選別して排土障害を防止しました。鉄筋の選別状況は実験結果とほぼ同様に長さ50~100mmオーバは殆どありませんでしたが1本でも発生すると排土障害となりますので同処置も致し方ないと考えております。

発進坑口より23m付近で切羽管理数値に異常が見られたため直ちに圧気装置を稼働させ、点検扉を開放しての目視による切羽点検をしました。その結果、残存した補修材であろうと思われる鋼板(12t ×700×700mm)が発見され直ちに対処できましたので大事に至ることとはなりませんでした。

以上の推進施工の結果、地表面への影響は全くなく日進量はほぼ計画通りの2.44m/日を確保し、推進精度も図-1の通りほぼ満足な施工となり初弾工事は成功裡に完了することができました。

写真-5、6

 

おわりに

永年の課題でありました大中口径対応の改築推進工法の確立を目指して開発したCMT改築推進工法の初弾工事は、無事に竣工することができました。私たちは改築推進工法における最大の課題は、切羽管理であるとの命題の基に開発を続けてまいりましたが、その妥当性は当該工事において実証できたと考えております。

今回の工事におきましては、改築後の下水道管の寿命を考慮してレジン管を用いました。また仮排水に関しましては既設の休止管を利用することができました。

しかし、より実用的な改築推進工法を確立するためには施工方法のさらなる研究と同時に使用管材や仮排水の問題の研究が重要になると考えます。

是非早急にこれらの課題を解決して、目前に迫りつつある我が国の下水道管路の危機を克服しなければならないと考えます。

最後になりましたが、当該工事に関してご指導くださいました宇部市下水道部下水道維持課の皆様に対して深甚なる感謝を申し上げます。

なお、当該工事の詳細は本誌Vol.26 No.9 2012をご参照ください。

図-1 出来高 成果表

 

 

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施工実績

代表的な施工事例です。

改築推進工法

山口県宇部市

φ840mm

大中口径管改築推進工法

 

紹介動画あり

愛知県

愛知県豊橋市

φ1000mm×1448m

500R 3箇所,700R 4箇所

新潟県

新潟県

φ1350mm

可燃性ガス含有地盤
高土被り
山岳下 120m

神戸市

神戸市

φ1000mm×251m

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